半袖の白衣のメリットとデメリットを知っておこう

白衣というと昔は長袖で丈が長いものが一般的でしたが、だんだんと違うデザインのものも流通するようになってきました。典型的なのが半袖の白衣で、丈も短くなっているものがたくさんあります。このような白衣にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

白衣選びをする上で参考になる情報なので確認しておきましょう。

合わせて読む:パンツスタイルの白衣のメリットや購入方法

暑さをしのぎやすい

半袖の白衣のメリットとしてまず挙げられるのは暑さをしのぎやすいことです。病院やクリニックの中は快適な温度や湿度にコントロールされているのが通例ですが、あくまで季節に応じた適温に設定されています。

夏なら患者が外から入ってくると涼しいと感じる温度ではあるものの、光熱費の節約という観点から国が奨励する28度設定にしていることも少なくありません。このような室温の中で長袖で丈の長い白衣を着ていると暑いのは確かでしょう。

白衣の下にワイシャツを着て対応するようなケースもあることを考慮すると、できるだけ暑くない白衣にしたいと考えるのはもっともなことです。半袖の白衣は本人が暑さをしのぐのに役立つだけでなく、周囲にも良い影響を及ぼします。

真夏の暑い日に患者が院内に入ってきて長袖の白衣を着ている人が大勢いるのを目にすると、それだけでも暑苦しいという印象を持ってしまうかもしれません。半袖で薄地の白衣を着ていると涼しげに見えるので気分的にも楽になります。

これは同僚同士でも同じことで、半袖でも暑いという人が長袖のスタッフを見ると暑いと感じてしまう可能性があるでしょう。夏場には半袖の白衣をユニフォームにすると、全体として暑さをしのぎやすくなり、仕事に対する集中力も高めやすくなるのです。

動作を妨げない

半袖の白衣は動作をあまり妨げないという点でも優れています。長袖の白衣は手首のところまで余裕を持って袖が伸びていることが多く、手元の作業をするときに袖口が邪魔になってしまいがちです。また、袖口を紐やゴムで締められるようになっているタイプの白衣がよくありますが、締めてしまうと窮屈感があるだけでなく、腕全体を動かそうとしたときに袖が邪魔になることも珍しくありません。

白衣の素材はあまり伸び縮みしない性質があるのでタイトに縛ってしまうと動作を妨げてしまうようになりやすいのです。その点で半袖なら手元の作業をするときにも、腕や全身を使った大きな動作をするときにも邪魔になることはありません。

単価がやや安いものもある

半袖の白衣は同じデザインの長袖の白衣よりも幾分安いこともあります。使用している生地の量が違うのは袖の長さから明らかですが、それに加えて生地を薄くして夏仕様にしてあることも多いからです。全く同価格というブランドもあるものの、1割くらい安くなっていて半袖の方がお得なこともあるので念頭に置いておきましょう。

防護服として不十分

半袖の白衣のデメリットとして機能性が足りない場合もあることが挙げられます。白衣はもともと作業着として使われるようになったもので、危険なものから身を守るための防護服として機能しているものです。そのため、半袖の白衣では防護服としては不十分なケースも多いので気をつけなければなりません。

肘から手首にかけて完全に無防備な状態になってしまうからです。

メスや注射針などの鋭利な刃物を使う現場ではうっかり触れてしまって怪我をするリスクがあります。特に注射針などの場合には感染リスクもあるので十分に注意しなければなりません。実験をするときにも白衣はよく着用されますが、化学薬品などの人体に触れると危険性がある物質を扱っているため、被曝リスクを下げるために白衣を着ているのが一般的です。

危険なものを取り扱う手元に近いところが無防備になってしまうので、実験用の白衣として半袖は適切ではないでしょう。また、医療現場では医師や看護師から患者に感染を広げるリスクもあります。誰でも体には無数の微生物が付着しているもので、長袖の白衣なら医師の腕から患者へという感染経路は遮断することが可能です。

特にこのようなことが問題になるのは手術をするときで、厳格な清潔さが求められることから半袖で執刀するのはリスクが高いのは明らかでしょう。ただ、腕を完全に滅菌した状態にすればむしろ作業を妨げないので半袖の方が良いという考え方もあります。

現場での運用方針に従って適切な方法で白衣を選び、手術をするのが肝心です。

長袖より種類が少ない

半袖の白衣はデザイン重視で選ぼうとしたときにはデメリットがあります。

長袖の白衣を作っているメーカーでも半袖は取り扱っていないというケースが少なからずあるからです。

ラインナップでは長袖の方が優れているので、同じ仕様の半袖のものがあったら良いのにと嘆くこともあるでしょう。だんだんとバリエーションが豊かになってきているものの、長袖が定番なのでやや候補が少ないのはネックになっています。

袖口が引っかかることがある

長袖に比べて袖口が邪魔にならないのはメリットではあるものの、その意識を欠いてしまったために半袖でも袖口が邪魔になることもあるので注意しなければなりません。特にスペース的に狭くてすれ違いにも苦労するような現場で働いているときにトラブルが発生しやすくなっています。

狭いところを通り抜けるときに肘の辺りは意識の外になっていることが多く、袖口が機器や薬品などに引っかかってしまうことがあるのです。手元はもともと意識する人が多く、狭いところでは体の中で最も幅が広い肩を意識してしまいがちで、その外にある袖口が問題になるのに気づかないこともあります。

半袖の白衣を導入した直後に起こりやすいトラブルなので気をつけておきましょう。

半袖の長さには色々ある

長袖というと手首のところまで袖口が伸びているものを指しますが、半袖の場合には必ずしも定義があるわけではありません。いわゆる半袖というと肘より少し上までの長さになっているものを示すことが多いでしょう。ただ、肘までかかるくらいのデザインになっているものもあれば、七分袖でもうちょっと長くなっている白衣もあります。

また、涼しさを重視してかなり袖が短めになっているデザインの白衣も流通しているので、希望に応じて適切な長さのものを選ぶことが可能です。どんな目的で白衣を着用しているのかに応じてより良いものを選ぶとメリットが大きくなるでしょう。